「何年か前、欧州に大戦がありました。その時、フランスとドイツが1つの河を隔てて戦っていたのです。一日中機関銃を撃ち、小銃を撃ち合って、何人かの人が戦死したのです。朝から晩まで引っきりなしに鉄砲の音と機関銃の音が響き合って、互いに戦いあっておった。ところが、やがて夕方になります。敵の姿も味方の姿も闇にすっぽり包まれて見えなくなった。銃身だけが火をふいて見えていた。ちょうど7時、空に一番星が見える時、フランスの塹壕の中にひとりの兵隊が突然大きな声で歌を歌い出した。「聖しこの夜星はひかり・・・」あの讃美歌を歌った。死に面したクリスマスの歌でした。いつ死ぬかわからない戦場の塹壕の中で、この一人の兵隊がクリスマスの「聖しこの夜」の歌を歌った。ところが間もなく右と左の兵隊がそれに和して「聖しこの夜」と叫んだ。やがてフランスの塹壕の端から端まで何十人という兵隊が、鉄砲をおろし、敵を撃つことをやめて、天に向かって「聖しこの夜」の讃美歌を歌った。それが空を通して響いて、河の向こうのドイツの兵隊の処に響いて行ったのです。ところが、次にドイツの兵隊の方でも、鉄砲を撃つのをやめて、ドイツの言葉で「聖しこの夜」と歌い出した。今まで闘いの場であったその戦場は、昔羊飼いの歌ったと同じように、平和な、神を讚美する、自然の教会堂になっていたのです。」~「それはいつですか」より~
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