2013年3月10日日曜日

牢獄からの救い

「カタ・ラゴソ牧師は改心前、ソロモン諸島でその名をはせた食人種の酋長であった。しかし、キリストの教えに接して、彼の生涯は一変し、神の愛に動かされてセブンスデー・アドベンチスト教会の牧師になった。
~戦争の悲劇をまのあたりに見た彼は、深く考えるところがあっておもだった土地の牧師たちを集め、戦争の渦中にまきこまれないよう、いろいろと計画をたてた。その中には救急班や捜索班が作られ、空中戦の結果おとされた飛行兵の救助にあたり、200名以上の生命を救った

 戦争が破局に近づくに従い、日本軍は彼を前線にかりだそうとした。ラゴソ牧師は指揮官に呼ばれて、彼と彼の部下が全面的に戦争に参加するよう求められた。だが彼の良心は戦争参加をゆるさなかった。その結果、彼は拘禁されたのである。そして、ごうもんにかけられることになった。彼はドラム缶の上に横にされ、むちで力いっぱい殴られた。彼は命令に従わなかった。彼の返事は、『わたしの宗教は、あなたの命令に従うことを許しません。』であった。その結果、銃殺されることになった。だが不思議なことがその時起こったのである。

 指揮官が劇的静けさの中で、号令をかけ始めた。三つ数えたら引き金が引かれるのである。
『1、2・・・』『1、2・・』彼の口からどうしても『3』が出ないのである。3回やって、3回とも言えなかった。そして1日半というもの、そのままおしのように口がきけなかった。

 ラゴソ牧師は銃殺をまぬかれて、牢獄に入れられたが、またいつ呼び出されて殺されるかわからなかった。部落の人々はそのことを聞いて非常に心配した。彼らはクリスチャンになる前は、南海の全地域において最も勇敢な、最も残忍な食人種であり、また、その子孫であった。彼らにとって日本軍を襲撃し、ラゴソ牧師を奪い返すことはやさしいことであった。だが、今の彼らはクリスチャンになっていた。彼らの心中にあるその自覚は、そういうことを考えることさえ許さなかった。彼らのできることは、全能の神に祈ることであった。月が山の端に上ると同時に集まって膝まづいて、生ける神に祈り始めた。

 その時のことである。ラゴソ牧師がいた牢獄の門前に、背の高い人が鍵を持って現れた。そして戸をあけるや、静かにラゴソ牧師を呼び出した。そして彼と共につながれていた部落のものを連れて海岸まで導いていった。海岸には、カヌーがつないであった。彼らは救われたお礼をいおうとふり返ったとき、その人の姿はすでに見えなかった。その夜その人を見たものはだれもいない。また、その人の使った鍵を見たものもいない。牢獄の鍵は、一晩中所定の位置にかけられていて、だれもそれをとりだすことができなかった。しかし、南海の人々は、その不思議な事実を了解した。神は彼らの祈りをきかれ、御使いを送って救い出されたのだと。ラゴソ牧師は無事に家に帰り、その信仰を守り、義務を果たした。」
                       ~「もう一つものをあなたに」より~

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