私はあなたが属している、セブンスデー・アドベンチスト教派の信者の農園の管理者として、長年働いています。ここの主人はとても熱心な信仰者ですが、神様とお金がこの人についています。普通、金銭に頼りすぎる者は神様から遠ざかり、神様に熱心な人は金銭には乏しくなるようですが、この人には神と富が離れません。その実例を一つ話しましょう。
ある時、25エーカーの広いぶどう畑から、多くの働き人を雇い入れてぶどうを摘み、それを干しぶどうにするために地面の干し場に並べました。時はちょうど金曜日でしたが、夕方になって急に天気が変わり、めったに降らない雨が運悪く降ってきたので、私は主人に「ぶどうを濡らさないように覆いをしましょう」と言いました。すると主人が「いや、もう安息日が始まったので、そのままにしておいてください。心配いりません」と答えました。雨は大雨となり2日にわたって降り続いたので、ついにたくさんのぶどうがダメになってしまいました。なぜなら雨にぬれたぶどうは腐敗しやすいので、それを干しぶどうとして市場に売り出すことが禁じられていたからです。
このことを聞いた酒造業の1人が来て、主人に「ぶどうを雨にぬらして、お気の毒でした。しかしご心配されることはありません。私がよい値で買いましょう」と言いました。しかし主人は、彼が酒を造るためにぶどうを買いに来たことを悟り、売ることをきっぱり断りました。驚きあきれたのは、わたしたち雇われた者でしたが、主人は雇われた人たちには約束したとおりに賃金を支払ってくれたので、誰も不平を言う者はありませんでした。しかし陰では主人を批判して「融通のきかない頑固なクリスチャン」と言って笑っていました。
主人は雨のために腐ったぶどうを、そのままぶどう畑の地面にすき込んでしまいました。
さて、その翌年、一般の凶作にもかかわらず、この主人の畑だけは豊作で、そのうえに非常に高値であったため、その年に3年分の利益を得ました。
そればかりではなく、主人が安い土地を買ってイチジクを植えておきましたが、それを収穫する時には値段が高くなって、イチジク成金になりました。まったく神様とお金は主人につきものです。」
野崎金一著
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